加持祈祷は、宗教的な行為や信仰体系の一環として行われる祈祷の形式です。
加持(かじ)は、仏教用語で「力を注ぐ」という意味です。加持祈祷では、僧侶などによって修行法される護摩祈祷や、また特定の祈りや呪文によって除災招福を祈ります。
私たちは、古より目に見えない偉大な力の存在を感じ崇め、その力(霊験や功徳・効験など)によって、恩恵や加護がもたらされると信仰してきました。
特に、密教(秘密仏教)において「祈祷」のことを加持祈祷と強調して呼ぶことがあります。
加持(かじ)とは、サンスクリット語のadhisthana(アディシュターナ)の語訳で、神仏の加護による除災増福を意味します。
また、霊験によって魔縁(三障四魔)や、怨敵や法敵、悪霊といった邪悪なものを鎮めるという意味で、鎮加護持(ちんかごじ)、あるいは神変加持(じんべんかじ)ともいいます。
仏の「慈悲」の力が衆生に加えられ、衆生の信心が仏に伝わることで、加持力がさらに高められます。
当方の護摩祈祷では手に印契を結び真言(マントラ)を口唱し一心に念じる「三密加持」をおこないます。
こうした加持祈祷は、個人の幸福や安全・安心、病気や困難の克服、魂の浄化などをはじめ、国家の安寧秩序などを願うなど、さまざまな目的で行われます。
なお、当方では、お経や真言、陀羅尼の読誦を「御祈願」と呼び、他方、護摩などの修法(密教の行法)のよるものを「御祈祷」(加持祈祷)と呼んで、区別して使い分けております。
亡くなった人(亡者)のために加持祈祷を「供養」として行うこともあります。加持祈祷によって亡者の安楽はもとより、現世に生きる人々の心身の健康や幸福、魂の成長を願います。